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英語絵本・児童書・教材専門店キッズブックスのblog

絵本・児童書・教材・リードアラウドのよもやま話。 イベント、ブックフェア、バーゲンなどの情報。 KIDS' BOOKS by Paperweight Books is a real/website bookstore for English Language children's books.

「大人も児童洋書から始めよう」『AERA English 6月号』洋書児童書案内:その2

AERA English 6月号』で、28冊の洋書紹介をさせてもらった。絵本でも『ハリー・ポッター』でもない児童書で、どんなのを読んだらいいのか。
私は、Chapter booksというジャンルというか、カテゴリーを勧めている。

前回のブログでは、sweet=カワイイ系を取り上げたが、「ちょっとそれじゃイヤ。だけどまだたくさん読みきる自信がない」というむきには、
Love That Dog『Love That Dog』ティーン
がいい。詩の形式だが、物語にもなっている。経験で言えば、詩形式は1ページに字があまり詰まっていないので、ストレスが少なく感じると思う。また、取っ付きやすい。そして何だかカッコイイ。
Coo
「ぼくに詩なんか書けない」と思っている少年を主人公にした、詩形式の物語だ。最初は、ただ普通の日記のような文を、詩のように改行しているだけ。だが、だんだん詩というものを理解し始め、しまいにはわたしたち読者の心に響く詩になっていく。
主人公の少年が、尊敬する現代詩人Walter Dean Myersの「Love That Man」という詩に触発され、詩を書いたという設定。だからタイトルが『Love That Dog』なのだ。

このWalter Dean Myersのことが、前々から気になっていた。グラフィック・デザイナーで、
Black Cat (Coretta Scott King Illustrator Honor Books)
『Black Cat (Coretta Scott King Illustrator Honor Books)』

などJAZZテイストの絵本のイラストも書くChristopher Myersの父でもある。気になったら、わたしはすぐ自伝を読む。
Bad Boy: A Memoir
『Bad Boy: A Memoir』
ブッククラブGコース 2008年6月号)
Walter Dean MyersがNYのハーレムで生まれ育った1940、50年代のアメリカで黒人の少年であるということが具体的に何を意味するのか、私たちはこの本から知ることができる。

ティーンになるまで、自分が黒人だということは特に意識の上位にはなかった。それよりも、体格がよく運動神経が抜群で、すぐに他人に暴力をふるっていた自身の始末の悪さが語られる。暴力は衝動のようなものだったらしい。なんで、すぐに喧嘩をする子どもや若者がいるのか分からなかったが、本能のようなものなのかなと、私は興味をもって読めた。

しかし、しだいに白人の友達から距離を置かれるようになって傷付き、黒人であることを意識するようになる。アルバイト先でまわされる仕事は、肉体労働ばかり。社会一般的に黒人の地位がどういうものかは知っていたが、自分もそこにはめ込まれるということに滅入る。自暴自棄になったり、将来に希望をなくしたりという状況が、個人の問題だけで語れないアメリカ社会を垣間見せてくれる。

高校生になるまで貧しさを意識することはなかったが、大学進学が周囲の学友たちの興味の中心になる頃、Walter Dean Myersは進学など夢のそのまた夢だと気付き、ここで初めて貧しさを認識する。ハーレムに住む典型的な黒人の、食べ物には困らないが蓄えのまったくない「自転車操業」的暮らしだったのである。

Walter Dean Myersの自己実現の軌跡をたどると、人種の壁を知らないわたしたちの苦労や悩みがまったく甘いものに見えてくる……。

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